2024.06.06更新

自動車整備士1級とは?取得者4%以下の仕事内容を解説!

更新:2023.8.22


自動車整備士1級とは?


自動車整備士1級とは?


自動車整備士1級とは自動車整備士2級と比べて高度な技術や知識が必要になる、自動車整備士の上位資格です。1級資格を持っている人の割合は、自動車整備士資格者の中でも4%未満と非常に少なくなっています。この資格を持っている人は、自動車整備士のなかでも選りすぐりのエリートと言えるでしょう。

 


自動車整備士1級で目指せる職業とは


自動車整備士1級資格があれば、民間工場・国産車ディーラー・輸入車ディーラーどこでも自動車整備士として働くことができます。また、1級の資格はハイブリッド車や電気自動車の特殊な整備も行えるようになるため、製造分野やメーカー本社での活躍も望めます。

 


自動車整備士1級の種類


そんな、自動車整備士1級の資格には、3つの分類があります。

ただし、1級大型自動車整備士と1級二輪自動車整備士の試験は未だ実施されたことが無いので、資格所持者も0人となっています。

 

1級小型自動車整備士

総重量8トン以下、最大積載量2トン未満、乗車定員11名以下の普通自動車、四輪・三輪の小型自動車、四輪・三輪の軽自動車の整備を行うことができます。

 

1級大型自動車整備士

総重量8トン以上、最大積載量2トン超、乗車定員11名以上の大型自動車、大型特殊自動車、普通自動車の整備を行うことができます。

 

1級二輪自動車整備士

二輪の小型自動車及び二輪の軽自動車の整備を行うことができます。

 


自動車整備士2級との違いとは


自動車整備士1級の資格は、自動車整備士2級や3級の資格と違い、1つの資格ですべての自動車の整備を行えます。つまり、ガソリン自動車、電気自動車関係なく整備を行うことができるのです。

近年では、安全装置や自動運転システムなど自動車の装備自体が複雑化しています。そのため、高度な知識と技術を持つ自動車整備士1級は、これからニーズが上がってくるのではという声も少なくはありません。自動車整備士1級の資格者は全国でも2万人未満と非常に少なくなっていますが、それだけ価値のある資格と言えますね。

 

自動車整備士1級の受験資格


学校


自動車整備士1級の受験資格を得るには、自動車整備士2級の資格が必要になります。自動車整備士2級や3級と異なり、学校での1級整備士養成課程でも2級の資格は必須になっています。入学条件が自動車整備士2級資格所持となっていたり、養成課程でカリキュラムの中に2級資格の取得を組み込んでいる学校がほとんどとなります。

 

一種養成施設

一種養成施設での1級整備士養成課程では、4年制の学校が多くなっています。2年間は2級整備士養成課程と同じカリキュラムを学び、2級資格を取得後1級整備士養成課程に移行しています。2級や3級に比べて、長い課程が必要になりますが、それでも1級資格を取るには一種養成施設での修業が最短の道となります。

 

二種養成施設

二種養成施設では、約8ヶ月程度の期間で1級の講習を行っているようです。受講料は2級や3級に比べて10~15万円と約2倍の価格となっています。また、2級ジーゼルとガソリン両方の資格を持っていないと受講できなくなっています。二種養成施設では、受験資格を得ることはできないため、別途2級の実務経験が3年以上必要にとなっています。

 


独学


独学で自動車整備士1級を取得する場合、1級に到達する前に2級・3級の資格取得が必要になります。そのため、ストレートで合格したとしても、1級資格を取るまでに最短で7年かかる計算になります。一種養成施設は最短で4年となっており、独学と比べると3年の差があります。

学費を取るか、年数を取るか難しい選択にはなりますが、自動車整備士1級まで取りたいという強い意志があれば、独学でも資格取得は叶います。

 

自動車整備士1級の検定試験


筆記試験内容


自動車整備士1級の試験は年に1回、3月に筆記試験・5月に口述試験・8月に実技試験が実施されます。1年を通して試験が実施されるため、自動車整備士2級や3級とは異なり、2回目のチャンスはありません。一度試験を逃してしまうと1年見送りとなりますので、受験の際は応募忘れなどが無いように気を付けましょう。

自動車整備士1級の学科試験では、今までに培った整備に関する基本知識のほか、完成検査の方法や光学素子式センサ回路についてなど多種多様な科目から出題されます。試験時間は100分で出題数は50問になっています。

 


口述試験内容


口述試験では、出題範囲は筆記試験と同じになっており、試験時間は10分、問題は2問のみとなっています。1問5分で、1名ずつ試験委員の待つ部屋に入室し、口頭で回答します。こちらの試験は対面式となるため、言葉遣いや態度なども減点の対象となります。気を付けて臨みましょう。

 


実技試験内容


自動車整備士1級の実技試験では、2級や3級で行った自動車の整備だけでなく、外部診断機の使用や、配線図を見て修理必要箇所を判断するなど、よりプロフェッショナルな技術を試されます。

試験時間は40分で4問の出題となっています。4問と言っても、4つの問題だけいう訳ではなく、問題が4~5つほどまとまって1問となっています。ただ、1問の中の問題は、すべてバラバラの分野からの出題という訳ではなく、問1の1番では部品を調べ、2番ではその部品が何かを記載、など関連づいたものになっています。

試験室に入ると、問題のセクションが2問ずつ、2セクションに分かれており、各セクション20分で問題を解く必要があります。セクションごとに、終了時間5分前にブザーが鳴ります。その後、規定時間になったら、次のセクションに移行する形です。

出題の傾向はその年によって様々ですが、基本的には故障診断を行う形になります。

試験官は複数人配置されますので、人に見られながら整備することに、慣れておくことが大切です。

 

 

自動車整備士1級の難易度

自動車整備士1級の取得難易度は、自動車整備士資格の中で最も高いといえます。2級や3級に比べ問題数も多く、出題分野もかなり広いものとなっているためです。また、合格ラインも正答率80%以上が求められるなど、非常に高いハードルとなっています。


自動車整備士1級の合格率は?


自動車整備士1級の取得難易度は、先ほども述べたようにかなり高くなっています。日本自動車整備振興会連合会の令和2年度の試験結果によると、筆記試験の合格率は61.1%です。しかし、口述試験の合格率は99.2%となっており、対策を行えばしっかり合格ラインを狙える試験となっています。実技試験での合格率は毎年30~50%ほどとなっており、非常に低い数字です。令和2年度の実技試験は、今年の8月22日に実施が予定されているため、まだ、結果は出ていません。一種養成施設や二種養成施設で、実技試験免除を受ける方がほとんどのため、筆記試験では受験者数が2,000人を超えていますが、実技試験の受験者数は2~300人と10分の1です。

合格率から考えても、自動車整備士1級の講習を受け、実技試験免除の状態で筆記試験の対策に集中するのがおすすめです。

 

(参考:『令和2年度第2回(第102回)自動車整備技能登録試験「学科試験」の試験結果について』、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会)

 

自動車整備士1級の仕事内容

自動車整備士1級の資格があれば、分解・整備・修理のすべてを行うことができます。知識を活かした、高い技術レベルへの挑戦や、複雑な故障診断の対応も可能になります。

自動車業界が、100年に1度の大変革期にあると言われている今、自動車の技術革命はまだまだ続いていくと考えられます。1級自動車整備士は、自動車整備士の中で唯一、環境問題や最先端技術に知見がある資格です。

特に、電子制御装置(自動ブレーキなど先進安全技術のこと)のメンテナンスを行うには、国土交通省より、別途、自動車特定整備事業の認証を受けなければいけません。そのためには、認証を受ける自動車整備工場に、1級の資格保有者が1名以上在籍している必要があり、そう言った場面でもニーズが増えていくと言えます。

 

また、自動車整備士1級は、技術者としての側面とは別に、指導者としてのポジションも期待できます。整備知識や自動車知識を活かして、サービスフロントとして顧客のコンサルタントとして活躍することもできるでしょう。

 

自動車整備士1級の待遇


自動車整備士1級の待遇


自動車整備士1級の平均年収は、400~500万円となっています。経験者であれば、500万円スタートの求人案件も少なくはありません。自動車検査員の資格を一緒に持っていればより高い年収が望めるはずです。

また、この資格では経験を積んで、責任のあるポジションにつくことも十分考えられます。

転職で年収を上げたい方は、是非こちらの「【自動車整備士×転職】プロが教える!転職で叶える、年収アップの秘訣!」も読んでみてください。

 


転職


自動車整備士1級の転職は、自動車整備士2級と同じく現場の即戦力として様々な企業から引く手あまたとなっています。40代~50代の転職では、経験者に対し指導者や責任者としてのポジションを用意している企業も少なくはありません。

また、先ほども述べたように、自動車業界が100年に1度の大変革期を迎えた今、自動車整備士1級のニーズは緩やかではありますが上昇しています。

東京都では、ガソリン車の新車販売を2030年までにゼロにする方針を明言しています。それに伴い、普及していく自動車は電気自動車やハイブリッド車です。そういった車には、ブレーキ装置など安全技術が少なからず搭載されています。安全技術装置のメンテナンスは、自動車特定整備事業の認証が必要になります。つまり、どの自動車整備工場にも、1級自動車整備士が必要になるということです。

こういった、特定整備の需要拡大による、新規工場の立ち上げや新プロジェクトのメンバーとして、自動車整備士1級は、今以上に、転職しやすい環境になっていくと予想されます。

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