近年、自動車整備士の人手不足は、さまざまなメディアでも取り上げられるほど深刻化しています。
整備士の数が減っているにも関わらず日本の自動車の保有台数は増え続けているため、一人あたりの負担する量はどんどん増えているのです。
整備士不足が深刻化し、整備士1人あたりの負担が増えることにより、「整備士は過酷だ」という印象が更に高まり、整備士のなり手が更に減ってしまうという負の連鎖になりかねません。
この記事では、現役の自動車整備士が関わってくる、整備士の人手不足について分かりやすく解説していきます。
現在の整備士の人数はどれくらいなのでしょうか。
令和7年の自動車整備士白書によれば、整備士(整備資格保有)は333,047人となっており、前年度に比べて1,792人(+0.5%)増える結果となりました。
整備要員(工員)数は402,025人となっており、こちらも前年度に比べて2,255人(+0.6%)増える結果となりました。
整備士は令和2年以降減少し続けていたため、整備士の増加は4年ぶりということになります。
しかし、依然として整備士数が足りていないことに変わりはありません。
同書では整備工場全体の47.2%が人手不足としており、今後も整備士不足を解決するための施策が求められるでしょう。
整備士不足の背景には、いくつかの要因が複雑に絡んでいます。主な要因は以下の通りです。
日本全体の高齢化と並んで、業界全体も高齢化しつつあります。
整備士の平均年齢は47.2歳と高齢化が進み、とくに若手不足が顕著になりつつあります。
この高齢化の要因として「若者のなり手不足」や、60歳以上になっても後を継ぐ人が見つからない「後継者不足」などが挙げられます。
公共交通機関の発展や、都市部の人口集中により、自動車に興味のある若者が減少傾向にあります。
また、そもそもの若者の人口も減少しています。
その結果、自動車整備専門学校への入学者数も近年減少傾向にあり、なり手不足に直結しています。
自動車整備士は、夏は暑く冬は寒いといった過酷な環境下で、力仕事を行う必要があります。
また、分解整備を行うにあたり必要な整備士資格は国家資格であり、取得にはお金も時間もかなりかかります。
しかし、年収は平均を下回っていることが多いのです。
国家資格が必要で、体力が無いとできない仕事であるにも関わらず、給料が特別高いわけでもないという事実が、自動車整備士のなり手不足を引き起こしていると考えられます。
自動車業界に整備士は欠かせません。
定期点検だけでなく、故障時の修理や、リコール対応など、整備士がいなければ自動車業界は成り立たないといえます。
人間で言えば医者のような存在であり、自動車が存在する限り自動車整備士のニーズが無くなることはないでしょう。
その整備士の人手不足が、自動車業界に大きな影響を与えることは明白です。
整備にかかるコストの増加だけでなく、なかなか定期点検の予約が取れなかったり、故障修理にも影響が出たりする可能性があります。
最も顕著な影響の一つは、業務量の増加です。
整備士が不足しているため、1人あたりの業務負担が増加し、忙しい時期やシーズンには仕事量が急増することがあります。
この状況では、作業が時間に追われることがあり、品質を保つための十分な時間を確保するのが難しくなる場合もあります。
また、長期的には、整備士の業務負担増加が離職率を高め、さらに人手不足を悪化させるという悪循環を生むことも。
上記のように、依然と続く整備士不足は自動車業界に悪影響をもたらします。
このような悪影響を断ち切るため、現在様々な企業が「整備士の待遇」を改善し、整備士不足を解決しようと取り組んでいます。
自動車整備学校を卒業していない、もしくは現在整備士資格を持っていない人材を自社で整備士見習いとして雇用し、仕事をしながら資格取得を目指す手助けをするという企業が増えています。
働き手からすると、整備学校に通う学費が不要かつ働きながらのため、お給料をもらいながら整備の勉強をすることが可能です。
そのため、応募への敷居が低くなり整備士不足の解消につながるのです。
整備士の平均年収は約417万円とされており、日本の平均年収を下回る形となっています。
整備資格取得の難しさと業務のキツさを考えるとあまりにも低く、整備士不足の大きな要因とも言えます。
そういったことから、整備資格を持っている人材、または未経験の人材も含め、給料のベースアップを行う企業も増えています。
また、ベースの給料だけでなく賞与や様々な手当を充実させ、年収アップを行う企業も多くなっています。
近年ではワークライフバランスを重視する人が増えており自動車整備士も例外ではありません。
職業柄、土日祝にお休みを取ることが難しかったですが、シフト制の導入や隔週土曜日休みなど、世間の休日と同じ日に休むことができる企業も増えてきています。
また年間休日数も増加傾向にあり、年間休日数120日以上とする企業も増えてきています。
また、「整備士=体力的にキツイもの」として夏は暑く冬は寒い、力仕事で腰を痛めるといったイメージを払拭するべく、設備投資に力を入れる企業も増えてきています。
例えば空調設備やシートシャッターの導入、タイヤチェンジャー等の導入を行い肉体的負担を軽減するとともに女性が整備士として活躍しやすい職場環境の整備も取り組まれています。
このように、工場内の気温や肉体的負担は少しずつ軽減されていっており、整備士のイメージ解消や整備士不足解消へ貢献しています。
整備士不足が加速すると整備業界だけでなく自動車業界全体の未来に関わってきます。
日本の基幹産業である自動車業界の維持には整備士が必要不可欠です。
こうした今だからこそ、今一度自分自身の待遇を見直してみるのはどうでしょうか。
もし今よりも良い待遇、環境での整備を望むのであれば、ぜひ当社にご相談ください。
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