整備士が転職を考える理由、全体の1位は「給与」
こちらは、想像通りという方も多いのではないでしょうか。しかし年代別に見ると、29歳以下と60代以上は「仕事内容への不満」が1位になります。
全体で見ても「仕事内容への不満」は2位で、給与とわずか5.7ポイント差に迫っています。
「給与に大きな不満はないけれど、なんとなく今の職場に違和感がある」
——そんなモヤモヤを抱えながらも、「悩むべきでは無いのでは」「転職理由として弱いのでは」と一歩を踏み出せずにいる方も、実は少なくないはずです。
本記事では、この実態調査のデータをもとに整備士の転職理由の傾向と、年代によって異なる「本当の悩み」の中身を紹介します。
今回の調査で最も多かった転職理由は「給与」で30.5%。
そして僅差の2位に入ったのが「仕事内容への不満」で24.8%でした。

この2つを合わせると全体の55.3%。整備士の転職理由の半数以上が「給与」と「仕事内容への不満」に集中していることが分かります。
給与に大きな不満がなくても、仕事内容を理由に転職を考えることは、データ上まったく特別なことではないです。
さらに年代別に見ていくと、年代別で傾向の違い見えてきます(日本人求職者のデータ、外国籍の傾向は後述)。

30~50代の中堅層では「給与」が転職理由の最多です。家族構成やライフステージを考えれば、待遇面が重視されるのは自然な流れでしょう。
一方で、29歳以下の若手層と60代以上のシニア層では、「仕事内容への不満」が1位になっています。
世代の両端で同じ理由が並ぶのは意外に思えるかもしれません。
ただ、「仕事内容への不満」という同じ項目でも、その中身をたどると、両者はまったく異なるものを求めていました。次の章から順に見ていきます。
若手層の相談内容に共通していたのは、「もっと成長したい」という前向きな意欲でした。
今のままでは技術力や市場価値が伸びていかない、という焦りが根底にあります。
実際に寄せられた声では、(趣旨が変わらない範囲で一部抜粋・要約しています)
トラックの整備をしていたが、軽自動車や普通車など様々なメーカーの車種に触れて経験を積みたいと思った。
22歳・3級自動車整備士
パーツ交換ばかりの作業では専門的な技術が身につかないと感じた。部品をただ取り替えるだけでなく、重整備や分解整備をしっかり経験できる環境で働きたい。
23歳・2級自動車整備士
もっと色々な経験を積んで成長したかった。接客も含めてお客様としっかり向き合える現場で、整備士を続けていきたい。
24歳・2級自動車整備士
「扱える車種の幅を広げたい」「重整備・分解整備をしっかり経験したい」「接客も含めてお客様と向き合いたい」
——共通しているのは、給与への不満ではなく、今の環境では自分の技術や経験が広がっていかないという実感です。
もし同じようなモヤモヤを抱えているなら、それは決して珍しい悩みではなく、多くの同世代が実際に転職のきっかけにしている、真っ当な理由です。
同じ「仕事内容への不満」でも、60代以上のシニア層が求めているものは若手層とは対照的です。
「体力に見合った作業量とペース」「長年の経験や検査員資格の活用」「無理なく長く働ける仕事」
——給与よりも、体力的な負担を抑えながらこれまでの経験を活かせる環境を重視する傾向が見られました。
実際に寄せられた声を紹介します(相談内容から、趣旨が変わらない範囲で一部抜粋・要約しています)。
腰痛持ちで整備割合が大きい現場は体力的につらい。検査員資格を活かして、検査業務や軽整備を中心に現場で長く貢献したい。
60歳・自動車検査員
業務量が多く体力的についていけなくなった。給与よりも身体への負担を抑え、これまでの経験を活かして車検や点検などの軽作業中心で長く働きたい。
65歳・2級自動車整備士
若手層が「経験の幅を広げたい」と考えるのに対し、シニア層は「培った経験を無理なく活かしたい」と考えます。
同じ「仕事内容への不満」という言葉でも、その中身は正反対と言えるほど違います。
今回の調査では、日本人と外国籍とで転職理由の重みづけが大きく異なることも分かりました。
日本人では「給与」(27.8%)と「仕事内容への不満」(27.4%)がほぼ同程度なのに対し、外国籍では「給与」が41.1%と最も多く、「仕事内容への不満」は15.0%にとどまっています。

カーワクに寄せられる相談では、母国の家族を支えるために日本で就業しているケースも多く見られます。そうした事情が、給与を重視する傾向の背景にあると考えられます。
このように、年代や置かれている状況によって、転職理由の重みづけは大きく変わります。優劣の話ではなく、「人によって重視するものは違って当然」ということが、データからも見て取れます。
給与に大きな不満があるわけではないのに、なんとなく今の職場に違和感がある
——そんな理由で転職を考えることに、後ろめたさを感じる必要はありません。約4人に1人が「仕事内容への不満」を転職理由に挙げている今回のデータが示す通り、仕事内容への不満は、多くの整備士が同じように感じているものです。
その中身は、29歳以下なら「もっと経験の幅を広げたい」という前向きな成長意欲かもしれませんし、60代以上なら「無理のないペースで、これまでの経験を活かしたい」という切実な思いかもしれません。
理由の形は人それぞれでも、根本にあるのは「今の仕事内容が、自分に見合っていない」という同じ感覚です。
自分の気持ちと向き合い、より望む場での活躍という選択肢を考えてみるのも、一つの道かもしれません。

調査対象サイト:カーワク (整備士など自動車業界特化の転職求人サイト)
調査報告プレスリリース:【整備士の転職理由 実態調査】全体の1位は「給与」も、日本人の若手・シニア層では「仕事内容への不満」が1位に
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