自動車整備士って何?
自動車整備士の概要
自動車整備士とは、「診断・分解・組立・修理」など自動車のメンテナンスを行う職業のことです。
その仕事内容は、資格が必要な作業が多くほとんどの自動車整備士は資格を有しています。もちろん中には資格がなくとも対応可能な業務もあります。しかし、今後のスキルアップやキャリアアップを考えるのであれば、資格を持っている方が有利と言えます。
自動車整備士の基本的な資格は、「3級自動車整備士・2級自動車整備士・1級自動車整備士」の3つに分けられます。これは大まかに分けたものになるので、実際の資格はこの3つからさらに細かく枝分かれしていきます。
自動車整備士の資格は、国土交通大臣の実施する自動車整備士技能検定に合格することで付与される資格となっています。つまり、自動車整備士の資格は国が付与する国家資格なのです。
3級自動車整備士
自動車整備士資格の中で初級の国家資格となります。これを取得することで、自動車各装置の基礎整備が可能になります。しかし、エンジン分解などの大掛かりな整備はこの資格ではまだできません。
2級自動車整備士
自動車整備士資格の中で2番目に難易度の高い国家資格です。自動車整備士の資格者のうち約8割が2級自動車整備士の資格所持者と言われています。
1級自動車整備士
自動車整備士の資格で最も難易度の高い国家資格となります。自動車整備業従事者の中でも取得率は低く、割合としても4%未満となっています。
全国の自動車整備士数
さ自動車のメンテナンスに従事する自動車整備士は、全国で何人いるでしょうか。一般社団法人である「日本自動車整備振興会連合会」によると、2022年の整備要員数は約39.9万人(出典:『自動車特定整備業実態調査結果概要』日本自動車整備振興会連合会)となっています。同じ国家資格である看護師の総数が、約157.7万人(出典:『看護統計資料集』日本看護協会)であることに対し、自動車整備士は希少な存在だということがわかります。
整備要員の推移は20年前と比較すると増加していますが、現在は停滞傾向にあります。直近のピークは2011年で約40.2万人となります。そこから、2019年現在は39.9万人と、緩やかな減少傾向が続いています。
自動車整備士を取り巻く環境
総整備売上高
総整備売上高とは、「車検」「定期点検」「事故修理」などの整備業の売上高のことです。この売上高には自動車販売などといった整備業以外の売上高は含まれません。
自動車整備士が緩やかな減少傾向にある今、総整備売上高、つまり整備業の市場は同じ減少傾向にあるのでしょうか。実際そんなことはなく、総整備売上高は2017年から上昇傾向にあります。
自動車保有台数の推移
総整備売上高の上昇と同じく、自動車保有台数も年々増加しています。
自動車整備士数の平均年齢
自動車整備士の平均年齢は2022年現在46.7歳となっており、前年の46.4歳よりも高齢化がじわじわと進んでいます。(出典:『自動車特定整備業実態調査結果概要』日本自動車整備振興会連合会)このことから、若年層の就業がそれほど多くないと考えられます。自動車整備という職業は技術職である以上、賃金や待遇は本人の技術力と経験値に比例します。そのため、ほかの職種に比べ年功序列の評価になりやすい点が、一つの原因と言えるでしょう。
ですが、この自動車整備士の高齢化・要員総数の減少に対し日本政府も手を打ち始め、自動車業界自体のあり方も社会全体の動きに合わせて変わり始めています。
自動車整備士のニーズは上昇している!?
前の章で説明した通り、自動車整備士という職種では平均年齢の上昇と要員総数の減少という問題が発生しています。それに対し、自動車業界・整備業の市場規模は拡大を続けており、コロナ禍でも経済的なV字回復をみせました。
自動車整備業を営む会社も年々増えています。拡大していく市場という働き口に、減少していく自動車整備士という働き手。そうです。自動車整備士の求人倍率は約3~4倍となっているんです。自動車整備工場では、2社に1社が自動車整備士の人員不足に悩んでいるという話もあります。現在はほとんどの自動車整備工場で、自動車整備士は喉から手が出るほど欲しい存在なんです。
これを受けて国土交通省は、自動車整備士の人員確保のために平成25年に「自動車整備要員人材不足対策に関する勉強会」を開始するなど対策に動き始めました。
対策は主に外国人層・女性層・若年層の就業確保のため、労働条件の改善を行うというものになっています。年収やワークライフバランスを見直し、自動車整備士の市場価値を上昇させるため日本政府も重い腰を上げたのです。
自動車整備士の労働状況
平均年収
では、そんな自動車整備士の労働状況はどうなっているのでしょうか。まずは年収から見ていきましょう。日本自動車整備振興会連合会の調査によると、2020年の自動車整備士の平均年収は392.4万円、2018年の387.5万円より4.9万円の上昇となっています。ゆっくりではありますが政府の取り組みが功を奏し、働き手と企業側の考えも変わってきているのでしょう。
自動車整備士は重労働で賃金が安い。いわゆる、ブルーカラーの仕事だと世間からは思われています。これを、自動車整備とは綿密で正確な技術が求められるプロフェッショナル職であると世間に浸透させることができれば、自動車整備士への先入観を破り、安定的な人員の新規参入が叶うはずです。
平均年収の上昇はその第一歩なのです。
残業時間
さて、では自動車整備士の労働時間はどうでしょう。もちろん企業によって変動はありますが、厚生労働省の調べによると自動車整備士の1ヶ月の平均的な残業時間は約20時間です。1日換算すると20日勤務だとして、1日当たり1時間の残業となります。
思ったよりも少ないのではないでしょうか。それこそひと昔前では皆さんのイメージ通り暗い夜に、工場の蛍光灯の明かりの中で、真っ黒になって働いている、なんて労働状況もあったかもしれません。しかし、現在では大多数の企業でクラウドシステムを導入しており、顧客車両の管理や書類発行、予約管理から故障診断システムとの連携まで簡単に行えるようになっています。
自動車業界のハイテク化は車両のみならず、しっかりと職場環境にも浸透しているのです。
自動車整備士への転職について
ここまで読んで、これから伸びてくる自動車整備士になりたいと思ったあなたのために、自動車整備士への転職について紹介させていただきます。
未経験の場合
ご説明した通り自動車整備士は資格が無くても、未経験でも挑戦できる職業です。しかし、資格がないことで本格的な整備に携われないのも現実なのです。じゃあ資格を取るために学校に通わなければいけないのかというと、そういうわけではありません。もちろん、学校に通うという手もありです。資格を持っていなくても、専門的な学校を卒業していなくても、既定の年数自動車整備士として従事すれば国家資格試験への挑戦を認められます。
多くの企業では、若年層の自動車整備士を育てていくために資金援助や勉強会の開催などといった資格取得支援を行っています。
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資格保有者の場合
自動車整備士の資格をお持ちの方はかなり転職はスムーズです。ここまででお伝えしている通り、ほとんどの企業は整備士不足に悩まされています。なので大手自動車ディーラーでも、資格があれば未経験でもOKだったり、カムバック歓迎を掲げていることもあります。もちろん、資格がない方と同じく資格取得支援を利用して上の資格に挑戦することもできますよ。ぜひ自動車整備士として、これからの自動車業界を支えてみませんか。