特定整備制度は、2020年4月からスタートした比較的新しい制度です。 制度開始以前は、自動車整備は大きく分けて、
1.点検整備
2.緊急整備
3.分解整備
の3種類でした。
今回ご紹介する特定整備制度は、分解整備の業務範囲を拡大し、名称変更したものです。
特定整備の内訳は『分解整備』と『電子制御装置整備』となっています。
動力部分やブレーキなど、自動車に対して重大な影響がある部分の脱着・改造を行う業務です。
【作業内容】
〇 原動機(エンジン)の取り外しを伴う整備
〇 走行装置(ロアアームやフロントアクスル)の取り外しを伴う整備
〇 緩衝装置(リーフスプリングやエアスプリング)の取り外しを伴う整備
〇 操縦装置(タイロッドエンドなど、かじ取り装置)の取り外しを伴う整備
〇 制動装置(ブレーキドラムやブレーキキャリパ)の取り外しを伴う整備
〇 動力伝達装置(クラッチやトランスミッション)の取り外しを伴う整備
特定整備制度によって分解整備から範囲が拡大した業務です。 電子制御装置整備では機器の取り外しを伴わずとも装置の作動に影響を及ぼす整備や改造を行います。
なお、作業内容は扱う自動車の自動運転レベルに応じて変わります。
【作業内容】
〇 Lv3以上の自動運行装置の取り外しや動作に影響を与える可能性のある整備・改造
〇 Lv3未満の衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や自動運転制御中心の操舵機能(レーンキープ機能)に使用される、前方の状況を感知するためのカメラなどの取り外しや機能調整
〇 上記に関連するカメラが取り付けられている車体前部や窓ガラスの脱着を伴う整備
2025年6月30日より、特定整備に関連する新たな制度がスタートします。
その制度は『訪問特定整備制度』です。
これまでの制度では、安全上重要な特定整備は、国が定めた設備・機器・要員の要件を全て満たす認証工場で実施しなければなりませんでした。
今回の制度が始まると、一定のルール内で、認証工場の整備士が自動車依頼者の自宅などを訪問し、限定的に特定整備を行えるようになります。
具体的な内容についても解説していきます。
訪問整備を行う場所が整備作業場など、認証工場の設備要件を満たす場所であれば、全ての特定整備を行うことができます。
依頼者の自宅駐車場など、認証工場の設備要件を満たさなくとも、安全・品質を確保できる場所で、以下の作業を行うことができます。
・ブレーキパッド交換
・発電機交換
・スターターモーター交換
・大特車のステアリングホース交換
訪問特定整備制度では、自動車の重要な部分を整備することもあり、細かくルールが設けられています。
・依頼者への説明や訪問する整備士への指示は、派遣元である認証工場の整備主任者が行います。
・整備費や旅費など、料金の内訳を明示すること。
・訪問する整備士のリストをメールで陸運局に届け出ること。
・訪問可能な範囲は同一都道府県内か、自動車でおおむね1時間以内の場所。
このように、訪問特定整備制度には多くの決まりがあります。
新しい特定整備制度の導入により、自動車整備業界は大きな変革を迎えています。
特に訪問特定整備制度は、これまでとは異なる形態での整備を可能にし、顧客にとっても便利で効率的なサービスが提供されることが期待されます。
整備士にとっても、フリーランスや出張整備士としてのキャリアの選択肢が広がり、今後の業界の変化に適応していくことが求められるでしょう。
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