組織の「協調性」が安定経営の基盤。長年取り組んできた基盤づくりとそこに根付く見習い整備士の採用・育成の秘訣とは?
目次
- -創業から70年以上、歴史ある整備工場として順調に歩まれていますね。
- -「組織の協調性」・・整備士の方がそれぞれ担当を受け持つ整備工場ではやや聞きなれないキーワードですね。
- -活気に満ちた今の工場を拝見する限り想像がつかないですね。15年前の厳しい時代からV字回復を果たされたきっかけは?
- -素晴らしい取り組みですね。協調性が土台にある御社の文化と見習い整備士の積極採用・・・具体的にお聞きする前にイメージが繋がってきました。
- -多くの企業が即戦力を求める中で希少なお話ですね。その選択を支える具体的な人材育成や体制はいかがですか?
- -見習いの方も安心してステップアップできる基礎がありますね。最後に今後の御社の展望と見習い整備士を目指している方へメッセージをお願いします。
70年以上の歴史の中で整備士に求めるものは、『抜群の技術』ではなく、いつでも変わらない『安定感』を持つことという。組織として、常に安定感のある整備業務と人づくりを目指してきた同社。ご自身も見習いからスタートされた所長代理の竹野様へ、整備士の見習い人材育成について詳しく伺いました。
-創業から70年以上、歴史ある整備工場として順調に歩まれていますね。
お陰様で地元のお客様を中心に長年御贔屓にしていただき感謝しています。
約15年前には、一時的に厳しい経営状況に陥ったこともありましたが、組織の協調性を重視した整備業務に改革して以降、順調に成長を続けています。
-「組織の協調性」・・整備士の方がそれぞれ担当を受け持つ整備工場ではやや聞きなれないキーワードですね。
そこに気づいたのも先ほどお話した約15年前の厳しい時代でした。ちょうど私が入社した頃のお話です。
入社当時の工場は、「完全担当割」のやり方で、担当整備士以外が絶対にその車に触らない仕事の進め方でした。つまり、誰も手伝わない、フォローしない、それぞれが担当している範囲のことだけを黙々と遂行する環境で、仲間意識や整備士同士の協調性がない時代でした。
より良い整備サービスの提供を鑑みれば、個々人で仕事に向き合うだけでなく、組織としてお客様満足の最大化に努めなければなりません。
そのような環境もあり、お客様の数が徐々に減っていった時代でした。
-活気に満ちた今の工場を拝見する限り想像がつかないですね。15年前の厳しい時代からV字回復を果たされたきっかけは?
近くにあったある整備工場の閉鎖が決まり、そこで活躍していた工場長が弊社に入社されたことがきっかけです。その入社によって、はじめて他社の文化や考えが入り、シナジーが形成され、「新しい整備サービス」の土台を形成していきました。
元工場長自身は何も言わないで黙って仕事をするタイプだったのですが、黙っていても自分の手が空いたら他の整備士を手伝う姿勢を徹底されていました。
その徹底ぶりが凄まじくて・・・まさに「協調性の種」が撒かれたイメージです。
そうしている内に周りもそうしなくちゃならないと感じていきます。手伝ってもらった分は返さなくちゃいけないと、協調性の種に芽が出たんですね。
その後は組織としてどのようにこの芽を育てていくかに向き合いました。
これまで無かった協調性が生まれると、逆に何かあった際の「責任」に関しての問題や議論が発生し、せっかくの芽が枯れてしまう原因になりかけていました。
職人気質の強い世界ですから尚更です。
そこで、組織として仕事を依頼する側が全ての責任をとることにルールを統一し、責任の所在を明確にすることにしました。
こうして「協調性」を根付かせて以降は、整備サービスのスピードが各段に上がりました。
協調性によって、足し算が掛け算に変化したイメージです。
組織の生産性とお客様の満足度が向上していった結果、低迷していた事業の回復と継続的な成長へと繋がっていきました。
-素晴らしい取り組みですね。協調性が土台にある御社の文化と見習い整備士の積極採用・・・具体的にお聞きする前にイメージが繋がってきました。
見習いから整備士を目指す方は、即戦力として入社される整備士よりも相対的に長く勤めてくれると考えています。「自分が育った場所」というのは、会社に愛着を持って安心して長期で活躍できる基礎になります。
一方で、他社で経験を積まれた即戦力人材は、以前の職場でのやり方、仕事の進め方に固執しやすく、中々吸収してもらえないことも多くありました。勿論、素直に取り入れて成長し活躍している人材もいます。(確率の問題です)
採用コストは高いのに組織や風土にマッチしない即戦力と、時間はかかるが0から長期で活躍する見習い人材を育成するのとを比較した時に、我々が選択と集中したのは後者であったというわけです。
-多くの企業が即戦力を求める中で希少なお話ですね。その選択を支える具体的な人材育成や体制はいかがですか?
0から教えることに関しては、手間が掛かる等の理由で後ろ向きな企業のほうが多いと思いますが、弊社には強みの「協調性の文化」があります。
固定の先輩が面倒を見るのでなく、日々それぞれの先輩について実務で教えていきます。
また、立場に関係なく工場長や管理責任者まで全員で面倒を見ています。
入社すぐから先輩整備士についてどんどん仕事をやってもらい覚えてもらうスタイルで育成しています。
洗車だけとか、単純作業の繰り返しをしている時期はありません。
私自身未経験で入っていますし、工場長も未経験で入っています。
ですから、教える側にも未経験から絶対に成功できる確信があるのも強みです。
-見習いの方も安心してステップアップできる基礎がありますね。最後に今後の御社の展望と見習い整備士を目指している方へメッセージをお願いします。
千葉にはグループの自社工場があります。
まだ社外向けのサービスを展開していませんが、近い将来、ここ東京で人を育てて千葉での立ち上げを進めていこうと考えています。
自動車整備には常に安定を重視しています。何があってもお客様の車の整備はパーフェクトにしなければ安全・安心を守ることはできません。
例えば家で何かあっても、会社へ来てツナギを着たら平常心で安定して仕事ができるといった、何かの影響でブレない人、常にフラットで取り組める人を求めています。
高い技術はその先です。ですから、見習いを目指す方にはまずはその安定感を重視して取り組んで欲しいです。これは入社後すぐにでも発揮できることです。
また、技術の面については、弊社では大型整備も含めて幅広い経験を積むことができます。
板金塗装や電装にも関わることができます。LPスタンドも隣にありますし、指定工場の経験も積めます。
目指している人には早くチャレンジして、まずは10年で検査員の資格取得まで達成してもらいたいです。