整備士採用の求人票はなんと『総合職』 業界に新しい風を起こす独自の経営モデルと成長の源泉に迫る
目次
- -まず最初に廿楽社長のご経歴を教えてください。
- -営業視点から会社を舵取りされている廿楽社長が見習い整備士の方を受け入れることになった経緯を教えてください。
- -まさに先見の明ですね。見習い整備士の採用をスタートされた時に注力されたことはありますか?
- -見習いでの採用は、現場での教育や体制が難しいとおっしゃる会社が多いですが、御社ではいかがですか?
- -その研修プログラムは御社独自のものですか?
- -取り組まれるなかで何かハードルはありましたか?
- -これまでにどれぐらいの方が見習いスタートから活躍されていますか?
- -新卒の採用でも同じお考えですか?
- -新卒含めて徹底されていますね!最後に今後の御社の目標や展望について、特に人材や採用についての部分を教えてください。
- -自社の整備業をサービス業として定義し、その理念を体現する為の経営と人事政策という構図こそが同社の成長の源泉でした。人を大事にし、個性を大事にし、夢を共有する企業として、業界に新しい風を起こす同社の動向に今後も注目して参ります。本日は誠にありがとうございました。
1953年の設立から地域に密着した経営を続けている有限会社廿楽モータース。
自社の事業を『自動車整備業』ではなく『サービス業』と捉え、人材採用から育成までを行う同社。
キーワードに「感動」「地域一番」「夢」を掲げ、多数の整備士人材を見習いスタートから育成し成長を遂げているという。
2001年より二代目社長として経営手腕を振るう 廿楽 佳明(つづら よしあき) 社長に独自の経営モデルをお聞きしました。
-まず最初に廿楽社長のご経歴を教えてください。
当社は、1953年に父が設立した会社です。私自身は、昭和30年に入社しました。
当時は、いきなり廿樂モータースに入社したわけではなく、廿樂モータース販売という販売会社に営業として入社しました。その後、平成13年に現在の廿樂モータースの代表取締役に就任しています。
営業畑一本でしたから、自動車整備士の経験は一切持っていません。
-営業視点から会社を舵取りされている廿楽社長が見習い整備士の方を受け入れることになった経緯を教えてください。
かれこれ10年くらい前ですね。今ほどは整備士の不足が騒がれていない時代でした。
ただ、その頃からすでに自動車大学校の新卒採用は、人材が集まりづらくなっていると感じていました。なので、資格や経験を必須としない採用もするようになったのです。
-まさに先見の明ですね。見習い整備士の採用をスタートされた時に注力されたことはありますか?
見習いスタートの新人でも活躍できるビジネスモデルは、通常の整備工場では作りにくいと思います。やっぱり自動車整備士は技術がないと仕事ができないので、生産性が中々上がらないんですね。ウルトラCの技はないんですよ。
当社では車検のコバックというフランチャイズの看板があること、もともとアルバイトを受け入れていたこともあり、見習いの新人でも管理者がいれば、生産性を上げられるビジネスモデルを持っていたことがそういった層の受け入れが上手くいった理由だと思います。
-見習いでの採用は、現場での教育や体制が難しいとおっしゃる会社が多いですが、御社ではいかがですか?
受け入れ当初は、現場の人間も教えるスキームができておらず、我流で教えるという部分もあって、なかなかうまくいきませんでした。
ただ、これをやっていかないと会社の存続にかかわるということをしっかり伝え、教わる側にもただ教えてもらうだけでなく、なるべく実践をたくさん積んでもらっていました。
また、技術を高めたいという気持ちが強ければ、就業後に技術研修なども行っています。
何より、社員には弊社は整備業ではなくサービス業だということを伝えています。
自動車整備士の作業は仕事の全てではなく、だいたい割合として50%ほど、もう半分は資格がなくてもできる仕事です。ですので、未経験の方でも技術関係なく活躍できる場があります。お客様が整備を依頼に来て、きっちり整備して帰っていただく。
それはどの企業でも同じです。
その中でメカニックの領分は半分くらいだと思います。さらに技術的な部分は2~3割で、あとは整備内容をどう説明するかです。だから、お客様と話しているメカニックを想像して、資格や経験の有無、国籍も関係なく採用面接を行っています。
何より、最終的な目的はネジを締めることではなく、お客様を満足させることですから。
お客様一人に対して、弊社が提供できるサービスコンテンツは「車検・整備・点検・自動車保険・車の販売」など様々です。
自動車整備士だから整備以外はやらなくていいなんてことはないんです。
だから弊社では自動車整備士にも、営業などの研修も行っています。
-その研修プログラムは御社独自のものですか?
そうです。今はコロナの関係でやめていますが、以前は丸1日使って社員研修を行っていました。この研修を行うことで、見習いで入ったばかりの方も、技術関係なくできる仕事が生まれ、そしてやりがいも感じてもらえるんです。
-取り組まれるなかで何かハードルはありましたか?
見習いから資格を取って、その後辞めていった人もいますね。
会社としては理由を考えるべきだと思いますが、個人個人の相性などもあるので、突き詰めないようにしています。会社の空気や風土を時代に合わせて変えていかないといけないのでベテランの考えややり方も踏まえながら、新しい風を取り入れていくのは難しいところがありますね。
-これまでにどれぐらいの方が見習いスタートから活躍されていますか?
自動車整備士30名在籍中、8名が見習いスタートです。
見習いから自動車整備士3級を取ったのは今2人ですね。資格を取りたいという方には全面的にサポートしています。お客様の満足を念頭に置いておけば、資格はあるけれど接客に関心のない方を採用し接客を学んでいくのも、資格はないけど接客に関心のある方を採用して資格を取っていくというのも同じだと思います。
資格や経験の有無を取っ払い、ご興味を持っていただけた方全員とお会いすることが、会社と本当にマッチする方に出会う最善の方法だと考えています。
-新卒の採用でも同じお考えですか?
そうです。新卒採用時の求人票も整備職での募集ではなく総合職での募集でした。
22卒も3人が入ってきます。1人は女性でフロント勤務ですが、2人は4大卒で見習いから自動車整備士に挑戦してもらいます。
-新卒含めて徹底されていますね!最後に今後の御社の目標や展望について、特に人材や採用についての部分を教えてください。
大変なコロナ禍があり、最近ようやくどの業界も落ち着いてきたと思います。
振り返ってみて見えてくるのは、大打撃を受けたのは業界がダメなのでなく業態がダメだったということです。飲食業界が大打撃を受けたという認識があると思いますが、すべてダメだったわけではなくケンタッキーさん等は過去最高の売上を出していました。
だから自動車整備という業界ではなく、その中で何をやっているかということが大切です。業態を変えていくために何から始めるか、そこに取り組んでいくことが大切だと思います。
だからこそ変化を起こす元となる人材採用はますます重要なテーマになるのです。
企業としての魅力をどれだけ伝えていけるかという部分に力を入れて、どんどん会社を新しくしていけるような人材を採用していきたいと思っています。
また、会社の未来を描けるような社員にどんどんチャンスを与えていきたいです。